「社員数が少ないから、家庭用Wi-Fiルーターで十分」と思っていませんか?
そのまま使い続けていると、実は会社の信用・セキュリティ・生産性に関わる“見えないリスク”を抱えているかもしれません。
本記事では、家庭用Wi-Fiを業務で使うことによって起きる問題とリスク、そして法人にふさわしいネットワーク環境の考え方や構築のポイントを、わかりやすく解説していきます。社内にシステム担当がいない企業でも導入できるソリューションもご紹介しますので、ぜひ最後までご覧ください。
1. オフィスのWi-Fi、家庭用でそのまま使っていませんか?
Wi-Fiは今や、業務に欠かせないインフラです。大手企業では安定したネットワーク環境を構築していますが、中小企業では家庭用Wi-Fiルーターをそのままオフィスで使っているケースも珍しくありません。
一見、問題がなさそうに見えても、実はセキュリティや通信の安定性に大きな不安が残る場合があります。
たとえば、以下のような点です。
・接続が不安定で、業務に支障が出る
・セキュリティが甘く、情報漏えいのリスクがある
・接続台数が増えるとルーターがダウンする
このような課題を回避するには、会社の規模や使い方に合ったネットワーク環境を導入することが大切です。

2. 家庭用Wi-Fiを企業で使うことのリスク
家庭用WI-FIルーターをそのまま会社で使うと、セキュリティの甘さや接続不良が業務に直結します。社員や外部の人が簡単にアクセスできる状態は、情報漏洩やトラブルの温床になりかねません。
以下で、家庭用Wi-Fiルーターを会社で使う際のリスクを見ていきましょう。
2-1. パスワードの管理がずさんになり、社内情報が危険に晒される
家庭用Wi-Fiルーターを初期設定のままオフィスで使うと、パスワードが1つしか設定されていないことが多く、利便性はあるものの、セキュリティ面で大きな懸念があります。
たとえば退職者がWi-Fiパスワードを保持していれば、退職後も社外からオフィスネットワークにアクセスでき、意図せずリスクを招く恐れがあります。
来客や外部パートナーに安易にWi-Fiパスワードを教えると、社内ネットワークに接続され、重要なファイルや機器にアクセスされる可能性もあります。これは、本来アクセス権のない第三者に情報資産を預けるのと同じです。
こうしたリスクに対し、頻繁なパスワード変更は現実的ではなく、社員への通知の手間も課題です。安全なオフィス運用には、より柔軟で管理しやすいネットワーク環境の整備が必要です。
2-2. フロアごとにSSIDが乱立し、接続が不安定に
家庭用Wi-Fiルーターを買ってきた後、電源を入れてケーブルを繋いだだけ、という方はいらっしゃいませんか?
初期値でも家庭用のWi-Fiルータは繋がってしまうのですが、本来はちゃんとネットワーク設計をするべきものです。特にフロアが複数あるオフィスでは、1台では電波が届かず、各フロアに別のWi-Fiルーターを設置すると思います。フロアを移動するたびに、「ここのWi-Fiのパスワードは何?」と誰かに聞かなけらばいけないという経験はありませんか?
また、適当に設置した複数のルーターの電波が干渉し合うと、通信速度の低下や接続の不安定化を引き起こします。これでは快適な業務環境を維持するのは困難です。
2-3. 無線ルーターを頻繁に再起動するはめに
家庭用Wi-Fiルーターは、その名のとおり「家庭内」での使用を前提に設計されています。最近では、家族一人ひとりがスマートフォンやタブレット、PCを複数所有し、スマート家電やIoT機器も増えたことで、10〜20台程度の端末が同時接続されることも珍しくありません。
とはいえ、想定はあくまで家庭規模の範囲にとどまり、処理能力にも限界があります。これをオフィスで使用すると、社員一人につき複数の端末やプリンター、業務用機器が接続され、接続台数はすぐに数十台、規模によっては100台を超えることもあります。朝の業務開始に伴って、社員全員が一斉に通信をし始めると、家庭用ルーターの貧弱なCPUでは処理をしきれるはずがありません。
その結果、通信速度の低下や接続不安定、最悪の場合はルーターがフリーズ(ハングアップ)するケースも出てきます。オフィスでよく見られる「ネットが重いから再起動」という対応は、まさに処理限界を超えた使い方の表れです。
3. 企業に必要なWi-Fi設計とは?
業務に耐えられる安定したネットワーク環境を構築するには、単に「Wi-Fiがつながる」だけでは不十分です。セキュリティ対策や可用性、接続管理のしやすさといった観点から、法人用途に適した設計が求められます。
以下では、そのために必要な要素を4つのポイントで解説します。
3-1. 社員ごとに個別IDとパスワードを発行(WPA3-エンタープライズ)
業務用の安定したWi-Fi環境を整えるには、セキュリティや管理のしやすさを重視した法人向けの設計が欠かせません。
なかでも重要なのが、社員ごとに個別のWi-Fi IDとパスワードを発行できる「WPA3-エンタープライズ」という認証の仕組みです。これにより、退職者のアクセスを即時に遮断でき、情報漏えいリスクを最小限に抑えることができます。
共通の鍵で出入りするのではなく、「社員証で入退室を管理するようなネットワーク環境」が、企業にとって理想的なセキュリティと安心感を提供します。
3-2. ゲスト専用ネットワークを設け、社内資源を保護
来客にWi-Fiを案内する際、社員と同じネットワークを使わせるのはリスクがあります。社内システムやファイルに意図せずアクセスされる可能性があるため、来訪者専用の「ゲストネットワーク」を用意するのが望ましい対応です。
このネットワークではインターネット接続のみに制限する設定が可能で、社内資源へのアクセスはブロックされます。オフィスに応接スペースを設けるように、ネットワークにも明確な境界が必要です。
法人向けのルーターやアクセスポイントなら、こうした設定は比較的簡単に行えます。セキュリティ対策としては、まず取り組むべき基本の一つです。
3-3. 全フロア共通SSID、シームレスな接続環境を実現
オフィスでフロアごとに異なるSSIDを使っていると、社員が移動するたびにWi-Fi接続が切れたり、再接続の手間が発生したりと、業務に支障が出やすくなります。こうした課題を解消するには、全フロアで共通のSSIDを設定するのが普通です。
オフィス内に複数のアクセスポイント(AP)を適切に配置し、SSIDを統一することで、端末はフロアをまたいでも自動的に最適なAPに接続され、接続切れのストレスがなくなります。さらに、隣り合ったAPの無線チャネルをずらすことで、電波の干渉を防ぎ、通信の安定性と速度を確保できます。
このように、ネットワークをシームレスにつなげる仕組みは、働きやすさを向上させるだけでなく、社内の生産性やチームの連携にも良い影響をもたらします。
3-4. 法人向けルーター+法人向け無線APで構成
家庭用Wi-Fiルーターは、ルーター機能と無線アクセスポイント(AP)機能が一体となった“オールインワン型”が主流です。家庭では問題ありませんが、オフィスのように多くの端末が接続され、複数の部屋やフロアにまたがる環境では、その構成が通信の安定性を損ねる要因になります。
法人向けネットワークでは、ルーターと無線APを分離し、それぞれの役割に応じた機器を設置するのが一般的です。これにより、負荷を分散でき、トラブル発生時にも原因が特定しやすく、復旧も迅速に進められます。
さらに、法人向けの機器は、通信の優先制御や接続の可視化といった管理機能も備えており、ネットワーク全体を効率よく運用できます。快適かつ安全な業務環境の構築には、こうした法人仕様のネットワーク設計が不可欠です。
4. 「社内に専門担当がいない」企業でも大丈夫
「社員ごとにIDとパスワードを管理できるWPA3-エンタープライズ環境は魅力的だけれど、導入には専門的な知識が必要そう……」そんな不安を抱える企業は少なくありません。
従来は、WindowsサーバにRADIUSサーバを構築し、細かな設定が求められるなど、中小企業にとっては大きなハードルでした。しかし近年では、そうした課題を解消する製品が登場しています。
たとえば、ヤマハの無線LANアクセスポイント製品は認証サーバ機能を内蔵しており、追加のサーバを用意せずにWPA3-エンタープライズ環境を構築可能です。設定も直感的で扱いやすく、専門知識がなくても安心です。
バーチューでは、こうした製品やソリューションを活用し、規模やリテラシーに応じた無理のないネットワーク導入を支援します。「何から始めればよいか分からない」といったご相談にも、丁寧に対応しています。

5. 安定したWi-Fi環境が会社の未来を支える
セキュリティトラブルが起きてから対応していては、すでに信頼や利益を失っている可能性があります。情報漏えいや業務の中断は、企業にとって深刻なダメージにつながります。
だからこそ、日々の業務を支えるWi-Fi環境は「今つながっているから大丈夫」ではなく、「将来の成長にも対応できるか」を基準に見直すべきです。安定したWi-Fiは、業務中のストレスやミスを減らし、社員の集中力や生産性を支える“見えない改善策”にもなります。
「何から始めればいいか分からない」「うちの会社規模でも導入できる?」といったご相談にも、バーチューが丁寧に対応します。どうぞお気軽にご相談ください。
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